私の鉄道論 第三話 サービスって何なのか
(04年11月28日作成)
第一話は「JRも民営会社なんだから採算性を考えなきゃ」というお話、それに続く第二話は「サービス向上をすれば常にもうかるわけじゃない。コストに見合うほど客が増えるのかをケースバイケースで考えよう」というお話でした。なんだか抽象的になってしまったので、今回は(少しだけ)具体的な話をしましょう。
さて。前回はサービス向上をすればもうかるのか?という問いを発しながら、「サービスって何なのか」について全くふれていませんでした。ここでいうサービスって何なのでしょう?
皆さんは、交通手段を選ぶとき、何を基準に選びますか?選択の余地が無い場合もありますが、大都市圏で乗換が必要な区間などではルートが複数考えられる場合もあります。
この場合、私はまず値段を比べます。ケチなので10円でも安い方がいいですな。まぁ一般的には、10円やそこらの運賃の差よりは、所要時間とか乗換の回数を重視するでしょうか。
例えば日吉(東急東横線)から田町(JR山手線)・三田(都営三田線・浅草線)の場合、いろんな経路があります。A:日吉→渋谷→(山手線)→田町、B:日吉→武蔵小杉→(目黒経由)→三田、C:日吉→自由ヶ丘→(東急大井町線)→大井町→(京浜東北線)→田町。運賃はA>B>Cの順で10円ずつぐらいビミョーに違います。時間は、大井町経由がやや長め。ラクなのは三田線経由です、武蔵小杉の対面乗換以外は座っているだけですから。普通の人は三田線経由を選びますが、渋谷〜日吉の定期券をもっているから渋谷経由にする人などもいて、人それぞれです。
もう一例。湘南地区に住んでいると、新宿へ行くとき2つの選択肢があります、JRか小田急か。小田急は、運賃がかなり安くて、朝の上りでも座れます。が、かなり遅く(近年、時間短縮に努めていますが)精神的にも疲れます。他方JRは、昔は品川で混んでいる山手線に乗り換えねばならず不便でしたが、湘南新宿ラインができてからは小田急よりも速くて快適になりました。ただ相変わらず運賃が高いのと、ラッシュ時の着席保障ができていないのが欠点です。とはいえ、出発地が藤沢ではなく「辻堂や茅ヶ崎から新宿まで」という場合ですと、やはり「直通のJRがいいな〜」という人が多いみたいです。
まぁこれらの例はどうでもいいのですが、要するに「いろいろな要素を比較して決める」ということですね。
ただ、ある区間で複数のルートを比較するときに、こんなに↑ゴチャゴチャと書き並べていても、ややこしくなるだけで、どっちが良い選択なのかをうまく表現できません。もう少し、単純に理論化できないでしょうか?
そこで私は、以上のような様々な要素を、以下のように単純化して理解することにしています。
「輸送機関として良いサービスとは、1.運賃が安い、2.所要時間が短い、3.快適性が高いことである」
この3つの要素に含めて説明できない要素はおそらく無いと思います。たとえば、乗換の回数は2と3で説明します。着席できるか、混雑がどれくらい酷いか、加減速や揺れによる疲労などは全て3「快適性が低い」とあっさり処理します。あと「所要時間○分」は、2だけじゃなくて3にも影響してしまいますね。
(※なお例外的に説明できないのは、「カシオペヤ」のように乗ること自体に価値が認められている列車です。しかしこれは「輸送機関」ではなく「娯楽商品」の一種だといえるので、まとめて説明できなくても構わないと考えています。)
(※さらに極端な話をすると、3の「快適性」は「精神的な所要時間」と言いかえることもできるので、1と2だけにしてしまうこともできますが、まぁ3は残しておきます。2と3を別にしておくと以下↓で役に立つからです。)
ただ注意すべきなのは、これに当てはめて考えても、「A線よりB線の方が客観的にサービスが上だ」と簡単には決められないことです。というのは、人によって重視する要素が異なるからです。例えば、
・Aさんは、1.お金はまぁふつうの額なら出す、2.時間は無いから速くつかなきゃ困るし、3.ほどほどに快適じゃなきゃイヤだ。
・Bさんは、1.お金はケチるから運賃の安さは追求するが、2.時間はかかってもいいし、3.別にずっと立っててもいいや。
・Cさんは、1.お金には余裕があるから運賃は高くてもいいし、2.時間はどっちでもいいけど、3.腰が痛いから快適なイスに確実に座りたい。
こんな3人がいるとしますと、前述の藤沢〜新宿の例で、AさんにとってはJRの湘南新宿ライン、Bさんにとっては小田急の湘南急行(04年12月以降は快速急行)、CさんにとってはおそらくJRの湘南新宿ラインのグリーン車が、「もっともサービスがよい」ということになります。「良いサービスは人によって違う」ということです。
まぁそうは言っても、「だいたいこの要素を評価する人が多いから、こっちの方が良いサービスだろう」と言うことはできますね。
「サービスって何なのか」なんてことを単純化して説明することにどれほどの意義があるのかわかりませんが(笑)、この「蜜柑の窓口」に発表する文章を作る過程で複数の路線のサービスを比較して考えるときには、だいたいこの公式で考えを整理しています。意識して主張するほどの公式ではないんですが…